2023年2月のメッセージ

Hello from Mamiko Matsuda, Ph.D. in Houston Feb. 2023

日本のみなさん、こんにちは。

現代人は病気に対して「避けられないもの」「ある日突然襲ってくるもの」と考え、多くの人が恐れています。特にこの3年余りにわたって私たちが直面している「コロナ禍」の社会では、みなさんも毎日きっと病気の感染を恐れて暮らしていることと思います。

こうした風潮の一方、「ナチュラル・ハイジーン」では「自分の体のことをよく知り、体を正しく扱っている限り病気とは無縁でいられる」「たとえ病気になったとしても、重症化するようなことはない」と教えています。

今から50年余りも前、米国のウィリアム・L・エッサー医学博士(注)は「病気は避けられないものではない」と題するエッセーの中で次のように説明しています。

(注)NHA(National Health Association:全米ヘルス協会<旧American Natural Hygiene Society:米国ナチュラル・ハイジーン協会>)の共同創立者で同協会の会長を務めていた医師。下記引用は『Natural Hygiene』(1959年コンベンション特集)に掲載されたものの抄訳。

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病気を恐れる必要はありません。病気に対する「恐怖の原因」を取り除けばよいだけの話です。取り除くべき「恐怖の原因」とは、細菌でもウイルスでもありません。それは「自分自身」と「病気を作る習慣」です。

何年も前に顕微鏡が開発され、レンズの下でうごめいている微小な有機物が凶暴で危険なものに見えるようになったとき、「ほとんどの病気の原因はこれだ」と判断されました。そして恐怖の波がこの地を覆ったのです。その結果、無菌の状態が保たれるようになりました。

健康でありたいと願うすべての人が、無菌の世界を必死に求め、それにより今では細菌に対する恐怖はほとんど過去のものとなりました。しかし、細菌に代わって、より神秘的であまりはっきりしない「ウイルス」という別の恐怖が「病気の原因だ」とされるようになりました。

実のところ、病気とは、「人間自身の体に対する誤った行為や軽率さ」が原因で生じるものなのです。自分の体を病気にするような行ないをやめれば、病気に対する免疫ができ、もはや病気は存在しなくなります。つまり病気にならなくなるのです。

動物たちには、爪、歯、嘴(くちばし)など、自分自身や子供たちを本能的に守り、食べ物を確保するために必要な要素が備わっています。

一方、人類には「知能」が備わっていて、地球上のすべてのものを支配することさえも可能にしています。私たち人類はその知性をいかして多くの扉を開き、多くの謎を解き明かしてきました。しかし、自分の外側の物事についてはよく知っているものの、残念なことに体の内側のことになると、よく理解していません。

自分の体のことをよく知らないという「無知」と自分自身をコントロールできないという「自制心の欠如」が、病気や苦痛、そして「早すぎる死」という結果を招くのです。人は自分の体のことについて学ばなければ、やがて自分自身を滅ぼすことになります。

人間にとって病気は不必要なものです。健康な人は、「昔から健康だった」とか「先祖が健康長寿のお手本だった」という理由だけでなく、なぜ自分が健康なのかをもっと知るべきです。

せっかくの健康や体質を台無しにしてしまう前に、自分が健康でいることに関して確かな知識を身につけるべきでしょう。

両親や祖父母が長生きしていることは、安心感につながりますが、それは、スポーツ選手が自分の栄光に安住するのと同じです。スポーツ選手は日々トレーニングを続け、その成果を維持しなければ、すぐに栄光は色あせてしまいます。それと同様に、両親や祖父母の健康長寿を自ら引き継いでいくには、それなりの努力が必要なのです。

長寿の先人たちがその子孫に残してくれた健康という財産は、多忙や心配事、仕事上の悩みによって失われていき、私たちの父親の時代に比べ猛スピードで変わっていく今の社会環境によって、簡単になくしてしまいます。

現代は、以前と比べて多くの利点がありますが、同時に欠点もあります。あらゆることが機械化されている今の時代では、押しボタン一つでたくさんのことをいとも簡単に操作できます。

しかし、だからといって、目まぐるしい忙しさから来る疲労感や緊張感をやわらげることはできません。神経系、消化器系、脳、心臓には耐えられないほどの負担がかかっています。そこで、現代人の多くは、競争についていくために、タバコ、コーヒー、そのほかの薬物で、疲れ果てた神経と機能を刺激しているのです。

こうしたゆとりのない生活から時折離れて、自分自身の体について思いを巡らすことができる人は賢明です。

十分な睡眠や休息もとらずに仕事をし、健康な体作りのためではなく、気晴らしや娯楽の要素ででもあるかのように、体にとってふさわしくない食生活を楽しみとしていると、苦痛や早すぎる死をもたらすことになります。時代が変わっても、体の機能を司っている<自然の法則>は不変だからです。

人類の歴史とともにある<自然の法則>に従って生きることの大切さを教えるナチュラル・ハイジーンの健康理論は、今日の文明の進歩を否定するものではありません。 しかし、「文化的な生活」や「何でも医者に頼る誤った安心感」には落とし穴がある、と気づくことも大切です。  

「ナチュラル・ハイジーン」という先人の知恵が教えているのは、特殊な食品やビタミン剤などのサプリメントでもなければ、がんじがらめの禁欲主義でもありません。それは、<自然の法則>に従って生きる、ということです。すなわち、中庸を知り、人間の体にとってふさわしい食事や生き方をし、心の平静を保つこと、そうすれば、具合の悪いところは自然に改善されていきます。

むずかしいのは、ホモサピエンスとしての人間の体にとってふさわしくない誤った食習慣や体を使わない過剰な利便性、そして自然とはかけ離れた現代人の生活(注)から自分自身を切り離すことです。

(注)睡眠や運動の不足、日光に十分当たらないこと、ストレスをためすぎていること、家族や親しい友人たちとの愛にあふれた交流の欠如や孤独など。

そのためにはまず第一に、痛みや不快、苦痛などを伴う病気の根本原因は何か、ということを冷静に分析することです。あたりまえのことですが、「病気になるような生き方」をしなければ、病気になることはないのです。

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なお、世界中で膨大な数の感染者や死者を出している新型コロナウイルスに対しても、「ナチュラル・ハイジーン」の教えは当てはまるということを補足しておきます。

感染の重症化、さらにはお気の毒にも亡くなっていく人の大半(およそ90%)は、高血圧、心血管疾患、糖尿病、腎疾患、呼吸器疾患などの基礎疾患がある人です。そしてこの基礎疾患の元凶とは、誤った食習慣やライフスタイルによるものです。

私たちホモサピエンスとしての体にとってふさわしい食事をし、十分な睡眠をとり、体を活発に動かし、日光に当たり、良い人間関係を保ってストレスをため込まず、新鮮な空気や水をとり込む、といった「健康の7大要素」を体に与えている限り、新型コロナウイルスやインフルエンザなどはもちろん、どんな病気も予防することが可能です(『50代からの超健康革命』グスコー出版参照)

免疫機能を高く保っていれば、ウイルスの侵入や活性化を防ぐことができるし、たとえ運悪く感染したとしても、症状は非常に軽く、きわめて短期間のうちに回復できます。

こうした食習慣やライフスタイルを無視していては、いくらワクチン接種に免疫力アップや感染予防を期待しても、効果はありません。現状は、ワクチンを繰り返し接種している人のほうが、感染リスクが高くなっているのです。

この3月14日に89歳になるT・コリン・キャンベル博士はワクチン接種をしていません。ベストの感染予防対策はワクチンではなく、「体にとってふさわしい食事」であることを熟知しているからです。

博士は自ら繰り返し行なってきた動物対象の研究と、中国及び台湾で人を対象に行なった大規模な研究から、動物性タンパク質の摂取はウイルスの活動を活発にし、抗体(T細胞)の産生を大幅に低下させてしまうこと、一方、植物性タンパク質では、ウイルスの活動を低下させ、抗体の産生が大幅に高まることを突き止めているのです。

キャンベル博士の感染症予防の結論です。

①「Don’t Eat Animals」(動物性食品は食べない)

②「Eat Whole Food」(野菜、果物、全粒穀物、イモ、マメ類など、ホールフード〈未精製未加工〉の食べ物を食べる)

(文責:松田麻美子)