Hello from Mamiko Matsuda, Ph.D. in Houston Jan 2022
日本のみなさん、明けましておめでとうございます。
一年中コロナに翻弄され、パンデミックは収束に向かうどころか、デルタ株からオミクロン株へと新たな変異株発生に世界中が苦慮する中で迎えた2022年ですので、「明けましておめでとうございます」と言うのもはばかられる、暗く憂鬱な1年の幕開けですね。
空港での水際対策を徹底させることで市中感染を防ごうとしても、すでに、日本国内から市中感染が相次いでいますし、年末年始の人の移動や新年会などもありますから、第6波は避けられないでしょう。
こうした感染者激増の波が来るごとに緊急事態宣言を発し、飲食店の営業規制などを繰り返して2022年も過ぎていくとしたら、社会経済も人々の体と心もますます疲弊してしまいます。
人が動き、物資が流通してこそ、社会経済が活発に保たれていきます。同様に、私たちも外に出て日光に当たり、体を動かし、人と交わることをしないと、健康を維持していくことはできません。
その意味では、世界中で新種のオミクロン株が、デルタ株に代わって激増し始めたにもかかわらず、海外からの観光客を歓迎し、「With Corona」(コロナとの共存)を目指し始めたオーストラリア、そしてロックダウンは行なわない方針を打ち出したアメリカ、イギリス(イギリスの場合は断定的で、後にロックダウンの可能性もある)などは、評価する価値があるかもしれません。
ですが、「クリスマスや新年を家族や親しい友人と安心して過ごすために、ぜひ3回目のワクチン接種をしてほしい」とテレビを通して国民に呼びかけるバイデン大統領や、ジョンソン首相の発言には、私は抵抗感を覚えずにはいられません。
その背後には、「体に免疫力を与え感染を抑え、これ以上感染者を増やさないようにするためには、ワクチン接種こそが唯一の手段である」というメッセージが込められているからです。
しかし最新科学は、次のような生活習慣が、体に本来備わっている免疫力を強化し、感染症に対応できる体づくりに役立つことを、明らかにしています。それは、①禁煙、②日光に当たり、適切な血中ビタミンDレベルを保つこと、③正しい食生活、④運動、⑤適正体重を保つことなどです。
喫煙者はコロナによる死亡リスクを2倍にすることがわかっています。<https://www. ucsf.
edu/news/2020/05/417411/smoking-nearly-doubles-rate-covid-19-progression>
また、コロナ感染者の入院時の60%はビタミンD不足で、重症の肺炎患者の男性は、最悪のビタミンD不足になっていること(※1)や、ビタミンDレベルが低いと感染リスクが2倍になること(※2)、そして感染者にビタミンDを投与すると重症化を防げること(※3)、なども明らかにされています。
(※1)『Journal of American Medical Association Network Open』(2020 Sept;1;3(9):e2019722)
(※2)<https://www.medscape.com/viewarticle/942497>
(※3)『The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology』(2020 Oct; 203:)
さらに、砂糖や精製穀物、清涼飲料、添加物入りの加工食品、動物性食品などの摂取は、炎症反応を活発にさせ、免疫機能を低下させることも、論文審査のある数々の研究によって裏づけられています。このような食生活では、「免疫システムの70%を担う」といわれている腸内細菌叢を育てていくことができないからです。
アメリカでは、コロナによる入院患者の78%が肥満か過体重です。
<https://www.cnbc.com/2021/03/08/covid-cdc-study-finds-roughly-78percent-of-people-hospitalized-were-overweight-or-obese.html>
正しい食習慣、戸外に出て日光に当たり、ビタミンDの産生に努め、人と交わり、活発に体を動かし、適正体重を保つこと。これらは、まさに「ナチュラル・ハイジーン」が180年近くにわたって教えてきている「健康のための必要条件」(健康の7大要素)と一致するものです(『50代からの超健康革命』第2章参照。グスコー出版刊)。
こうした生活習慣の実践は、マスク着用や3密を避けることと同等か、それ以上に重要な、コロナ感染防止対策であるべきだと私は思います。しかし、私たちは、このようなアドバイスを政府や公衆衛生機関から聞くことはありません。
アメリカの医療機関は、このような自然療法をすすめたり、ワクチン接種に対して否定的な発言をしたりする医師を解雇処分にしていますし、カナダでは2021年4月30日にオンタリオ州医師会が、ビタミンDを含めてワクチン以外の健康法を処方する医師を免許剥奪すると警告しています。
もう一つ、政府や公衆衛生当局から私たちが知らされていないことがあります。それは新型コロナウイルスのスパイクタンパクは、肺や心臓、脳は言うまでもなく、全身の微小血管(細動脈や毛細血管など)にダメージを与えるのですが、ダメージを受けた血管がすぐに修復されるよう、その修復のメカニズムである「血管新生」を活発に行なうことで、微小血管のダメージは修復され、肺炎や心臓血管疾患への進行を防ぐことも可能だということです。
そして、この「血管新生」を活性化させるのに役立つ食生活とは、未精製・未加工の、プラントベースの食事なのです。こうした食べ物から与えられる栄養の相乗効果で、幹細胞が活性化され、それによって「血管新生」が活発に行なわれ、ダメージを受けた血管は、すみやかに修復され、肺炎の重症化を防ぐことが可能になります。
こうしたことは、科学的研究によってすでに明らかにされているのですが、こうした事実もメディアが報じることはありません(注)。
(注)『Scientific Reports』(2017 Oct 18;27(1):13424)
『Journal of Agricultural Food Chemistry』(2010 Dec 26;58(24):12941-12949)
『Journal of Trauma』(2011;70(2):459)
さらにプラントベースの食事は、コロナ後遺症の予防や改善にも効果があります。「コロナ後遺症」とは、COVID‐19(新型コロナウイルス感染症)になったあと、治療や療養が終わっても一部の症状が長引くことから、英語では「Long COVID」と呼ばれています。
後遺症の主な症状としては、疲労感・倦怠感、呼吸困難・関節痛・筋肉痛・胸痛・抑うつ・不安・頭痛・発熱・動悸・嗅覚/味覚障害・立ちくらみ・筋力低下、睡眠障害、思考力・集中力低下、脱毛などがあります。
慢性の炎症や自己免疫疾患のある人、 糖尿病患者などに特有な神経症/末梢神経機能障害がある人、高血圧症や心臓血管疾患などがあり、 微小血管機能障害がある人などは、コロナに感染すると、コロナ後遺症になるリスクが高いといいます。
これらの基礎疾患のある人は、コロナに感染する前から特に、プラントベースの食習慣を心がけ、そもそも感染しないように努めることが賢明ですが、万が一感染してしまった場合でも、3日間のウォーターオンリー・ファスティングとビタミンDや、ケルセチン、グルタチオン、さらには亜鉛などのサプリメントの摂取、そしてそれに続く「プラントベースでホールフードの食事」を心がけることで、後遺症をめざましく改善していくことが可能です。
プラントベースの食べ物は、人類の長い歴史の中で、「血管新生」ばかりか、腸内細菌叢、DNAの修復、組織の再生、免疫システムなどの生理的な健康コントロールシステムを活性化することによって、あらゆる感染症から体を守るのに役立ってきました。
こうして私たちの祖先は、太古の昔から、無数のウイルスや細菌に打ちのめされてしまうことなく、強力な免疫力を作り上げ、生きながらえてきたのです。「その免疫力は、新型コロナウイルスに対しては無力である」と誰が断言できるでしょうか。
年頭に当たり、私はみなさんに、公衆衛生当局が報じていなくても、ナチュラル・ハイジーンの健康理論が教える「プラントベースの食事をとること」「日光に当たること」「体を活発に動かすこと」「十分な睡眠をとること」「人と交わり良い人間関係を保つこと」などをライフスタイルにとり入れ、コロナ禍は言うまでもなく、さまざまな病気に打ち克つ光り輝く一年を送ってほしいと願っています。
(文責:松田麻美子)