Hello from Mamiko Matsuda, Ph.D. in Houston Apr 2021
日本のみなさん、こんにちは。
日産の元会長、カルロス・ゴーン氏の逃亡先として知られるレバノンの首都、ベイルート郊外にあるハイエク病院(Hayek Hospital)では、去る3月1日から入院患者の食事はもちろんのこと、通院患者や見舞い客、病院スタッフなどが利用する院内のカフェテリアでも、提供される食事のすべてがプラントベースになりました。
このことは私が管理するFacebookでも簡単に記していますので、すでにご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、このような病院は世界で初めてのことなので、今アメリカでは、ヘルシーな食習慣を心がける健康意識の高い人々の間で話題になっています。
アメリカでは、2017年に米国医師会がすべての病院にプラントベースの食事の選択肢を設けるよう求めたのを受け、その翌年の2018年秋にはカリフォルニア州で,また2020年の12月からはニューヨーク州で、全病院にプラントベースの食事の選択肢を設けることが義務付けられました。しかし、「病院が提供する食事のすべてがプラントベース」という病院はまだアメリカには一つもありません。
「病院で肉を出すことは、病院でタバコを出すことと同じ」だ、とハイエク病院では言います。なぜなら、2015年秋、WHO(世界保健機関)が、加工肉をタバコと同じグループ1の発ガン性(ガンを引き起こす)、赤身肉をグループ2Aの発ガン性と分類したことを発表しているからです。
さらに、「新しい感染症や新たに発生した感染症の4つのうち3つは動物由来であり、植物ベースの食事のみを採用することで、特定の病気の進行を止めるだけでなく、逆転させることもできることが科学的に証明されている」とCDC(米国疾病予防管理センター)は明言しています。
すなわち、「動物性食品は感染症を含め、さまざまな病気のリスクを助長し、プラントベースの食事はこれらの病気の予防や逆転に役立つ」ということを科学が明らかにしていることから、この病院では、昨年以来、患者さんは「動物性食」と「ヴィーガン食」のいずれかが選択できるようにし、動物性食品の健康に及ぼすリスクや、プラントベースの食事が健康にもたらす利点についての情報を患者さんに提供してきました。
そして世界中が新型コロナウイルスのパンデミック禍にある今、この病院では、「病気やパンデミックの症状の治療だけに目を向けるのでなく、その根本的な原因に取り組むべき時期に来ている」と考えています。
「動物由来の食事は病気を助長し、プラントベースの食事は予防や逆転に役立つということはもはや反駁の余地がないにもかかわらず、誰もこの事実にあえて取り組まずにいる。だがハイエク病院では、この事実に勇気を出して取り組むことにした」と同病院はソーシャルメディアに記しています。
この病院には「信念に基づいて行動する」という道義的責任があるからだ、といいます。自分自身は言うまでもなく、地球上のすべての人の健康のために、そして私たちの地球のために。
このような病院が登場してきたことは、大変画期的なことで、とても喜ばしいことだ、と私は思います。
1年余りにもわたって世界中を震撼させ続けている新型コロナウイルス感染の最大のリスク因子は、高血圧、高血糖、糖尿病、心臓血管疾患、腎疾患、肺疾患などの基礎疾患であることを、科学はすでに明らかにしています。
新型コロナウイルス感染で亡くなる人の95%がこれらの基礎疾患がある人だということがわかっており、さらにまた、これらの基礎疾患の根本原因は、動物性食品摂取の食習慣であることも、最近の科学は明らかにしています。
ベイルートのハイエク病院が院内で提供する食事のすべてをプラントベースにすることに踏み切った背景には、こうしたことがあるということを、医療従事者はもちろんのこと、多くの一般の人に認識していただけたらと願ってやみません。
コロナパンデミックの解決のカギは、ワクチン接種ではありません。究極的な解決策は、ハイエク病院のように、徹底したプラントベースの食事です。
深刻な副作用を伴いながらも感染者を減らすことに役立つという理由で、世界中で始まっているワクチン接種によるアプローチでは、根本原因をとり除くことはできません。
これでは、いつまでたっても、ウイルス感染症との闘いに打ち克つことはできないでしょう。たとえ今パンデミックになっているCOVID-19(新型コロナウイルス)の問題は解決したとしても、さらに別のウイルスが新たに生まれてくるからです。
「ナチュラル・ハイジーン」では19世紀半ばからずっと、プラントベースの食習慣をすすめてきており、コレラやスペイン風邪などが世界中に蔓延していたときでさえ、この食習慣に従った人々は健康に生きながらえてきました。
「ナチュラル・ハイジーン」の健康理論やプラントベースの食事に関する情報は、『フィット・フォー・ライフ』『50代からの超健康革命』『女性のための超健康革命』(いずれも、グスコー出版)などに詳しく紹介されています。
すでに述べたように、「新型コロナウイルスの感染➡重症化➡肺炎などによる死亡」というリスクの最大因子は、心臓血管疾患・糖尿病・ガン・腎臓疾患などの基礎疾患にあります。
そして、それら基礎疾患の元凶が動物性食品の摂取にあることは、『チャイナ・スタディー』(グスコー出版)に詳しく解説されています。
(文責:松田麻美子)