Hello from Mamiko Matsuda, Ph.D. in Houston Feb 2021
日本のみなさん、こんにちは。
「健康な骨づくりには牛乳や乳製品が不可欠」──みなさんはそう思っていないでしょうか? しかし、それは真実ではありません。乳類からカルシウムをとればとるほど、骨はもろくなります。乳類は丈夫な骨づくりには役立たないのです。
「ナチュラル・ハイジーン」では古くからこのことを教えてきましたので、『フィット・フォー・ライフ』『常識破りの超健康革命』『子どもたちは何を食べればいいのか』『50代からの超健康革命』『女性のためのナチュラル・ハイジーン』(いずれも、グスコー出版)などの本に記されています。
そして最近では「ナチュラル・ハイジーン」の見解が正しいことは、論文審査のある数々の世界一流文献によって裏付けられていますし、『チャイナ・スタディー』(グスコー出版)の第10章にも、牛乳が丈夫な骨づくりに役立たない理由について、詳しく解説されています。
しかし、たとえこうした情報をこれらの本から学んでいる人でも、骨折をした場合などは、治療を受けた整形外科の担当医から、意識して牛乳や乳製品をとるようすすめられると、「牛乳を飲まなくて大丈夫だろうか」「チーズやヨーグルトが必要ではないだろうか」と心が揺れる人が少なくありません。さらに「入院中の病院の食事はどうしよう?」「出されるものを食べないと、病院から嫌われるのではないか?」といった心配もあるかと思います。
でも、ナチュハイ歴4年になるTさん(女性、50代、横浜市在住)は違いました。Tさんは昨年3月、歩行中にバイクにはねられ、強い衝撃を受けた右大腿骨が、腰を構成する右腸骨の方向にめり込み、これに伴い、腸骨、坐骨、恥骨を損傷する骨盤骨折という大変な事故に遭い、輸血を伴いながらのインプラント挿入という6時間に及ぶ大掛かりな手術を受けました。幸い手術は成功しましたが、全治6か月という診断でした。
退院後、Tさんは自宅で療養とリハビリに励み、手術から4か月後にはジムでヨガや水泳を開始、骨折から6か月後の9月中旬からは徐々に仕事を再開し、自由に歩くことができる姿にほぼ近い状態にまで回復して今日に至っています。
入院中の食生活についてTさんが詳細を送ってくださいましたので、それを要約してご紹介したいと思います。
<入院中の食事に関して>
病院での食事について、牛乳や乳製品、肉、卵、魚、小麦製品を遠慮する旨申し出て、聞き入れてもらうことができました。これに関してはちょっとしたエピソードがあります。
救急搬送された病院で初めて目覚めたときのことです。入院手続の説明をしてくださった若い医師に、夫が「患者はヴィーガンなんです」と伝えたのです。私も意識朦朧とした中で、ヴィーガン対応の食事を求めました。
するとその若い医師は、「えっ。そんなことしてるから、骨盤が折れるんですよ。・・・魚くらい食べたらどう?」というのです。その医師の言葉は「想定内のこと」でしたので、私は激痛があったにもかかわらず、思わず微笑んでしまいました。
夫も「魚くらい食べたほうがいいよ」とその場を取り繕ってくれたので、私も「わかったわ」と答え、最終的に「パン禁、麺類禁、卵禁、肉禁、乳類禁」(魚は除外せず)で落ち着きました。
とはいえ、魚が出されても残していました。そして入院開始から1週間もたたないうちに、病棟の栄養士さんに、魚介類も遠慮したいと申し出て、難なく聞き入れてもらうことができました。
私の場合、かなり大きな骨折を経験したにもかかわらず、牛乳をはじめ乳製品などの動物性食品は一切とらずに入院生活を過ごしました。病院食のほとんどは火が通ったメニューでしたが、植物性の食事のみで過ごせたことは誠に幸いでした。
加えて、手術後4日目から、家族が、週末にグリーンスムージーを作ってタッパーに入れて持って来てくれたので、病室の冷蔵庫に保存しておき、食事の前に頂きました。併せて可能な限り、フルーツ、納豆、無塩のナッツ、すりごま、玄米ご飯なども持って来てもらいました。生のフルーツやグリーンスムージーを摂取するようになった頃から、腸の動きが活発化したのが実感できました (ほかにも要因があるかもしれませんが)。
乳類ほか動物性食品は一切とらなかったにもかかわらず、骨折の回復には全く問題がなかったどころか、むしろ回復は早かったようです。担当医は、レントゲンなどの検査結果やリハビリの進行状況を見るたびに、驚きながら、「早いですね」とおっしゃっていました。
プラントベースの食事でありながら順調な回復であったことについての担当医の反応ですが、動物性食品を全面的に避けたいという私の希望に、当初はある程度驚かれた節も見受けられました。
しかし、このことについて、担当医から特段のコメントはありませんでしたし、「骨の再生も順調ですよ」と笑顔でおっしゃっていました。
また、担当医は、入院中の私の食事をご覧になり、「健康的な食生活ですね」とおっしゃり、リハビリ病院に転院する際には、プラントベースの食事に対応してくれる病院への転院を望んでいた私の希望も考慮してくださいました(実際に転院先を探してくださったのは入院先病院の「療養・福祉相談室」です)。そのうえ、「転院先でも自分の食習慣を貫けばよく、肉を食べなくてもいいですよ」ともおっしゃいました。
いずれも病室内での雑談ベースのお話でしたが、お蔭様で入院中は積極的な気持ちで療養とリハビリに専念できました。担当医の先生のご理解には感謝しています。
入院中の3か月余り、プラントベースの食事を貫けたことは、病院のご理解と家族の協力をはじめ、療養中に支えてくださったさまざまな方々のおかげでこそ可能となったことですから、すべての関係者に心より深く感謝しています。
「ナチュラル・ハイジーン」が教える「体にとってふさわしい食事をし、体に本来備わっているヒーリングパワー(自然治癒力)が発揮されるチャンスを与えてあげれば、骨折を含めてあらゆる健康上のトラブルを改善・回復させることが可能です。
Tさんが骨盤骨折という重症を負いながら、動物性食品を摂取している人よりもずっと早く回復できたのは、こうした「ナチュラル・ハイジーン」の教えを信じ、「入院中でも自分の食習慣を貫き通したい」という強い意志を持ち、担当医や病院側に熱心に伝えたこと、そしてまた、回復を信じてリハビリに励んだおかげだと私は思います。
(文責:松田麻美子)