Hello from Mamiko Matsuda, Ph.D. in Houston May 2018
日本のみなさん、こんにちは
しばらくの間、「日本ナチュラル・ハイジーン普及協会」のホームページにアクセスできないというトラブルが続いていたため、みなさま方にご迷惑をおかけしてしまいました。この場を借りてお詫び申し上げます。
さて、今、欧米の食文化が大きく変わろうとしています。2年ほど前の調査になりますが、2016年6月5日付の『デイリー・メール』紙(イギリス最古のタブロイド紙)によれば、1990年代半ばから2010年の間に生まれた世代では、16~19歳の48%、そして16~24歳の40%が好んで「プラントベースの食事」をしているといいます(イギリス第2の市場調査会社イプソスモリ社の調査より。 15歳以上のイギリス人1万人を対象)。
この数字にはインターネットの普及が大きく関与しています。生まれたときからパソコンやスマートフォンなどのデジタルツールに囲まれて育ってきた彼らは、ネットを通してさまざまな情報を手にしており、疑問を抱くとすぐにネットで検索しています。
彼らはまた、「9.11」のアメリカ同時多発テロ事件やリーマン・ショックに端を発した金融危機など、不穏な社会状況のあおりを幼い頃に受けていることから、より安定した暮らし、より有意義な生き方を願っている世代ということでも知られています。
さらに言えば、メディアが報じない情報を手にしているこの世代の中には、伝統的な習慣や慣習、あるいは業界の押しつけがましいPRなどにとらわれず、自ら情報を集め自らの判断で行動を決めている若者も多く見られます。
現在20歳前後のイギリスの若者の半分近くが動物性食品を避け、「プラントベースの食事」を好んでいるのは、動物性食品中心の食習慣がもたらすさまざまな不都合(健康阻害、地球環境汚染、動物虐待など)に対する彼らなりの意識の表われかもしれません。
イギリスでは「Meat Free Monday」(ミート・フリー・マンデー/月曜日は肉なしの日)のサイトを見たマンチェスター群トラフォード区在住の10歳の少女が、その地域の最終決定権を持つ地方議会を動かし、「ミート・フリー・マンデー」の給食を実現させています(2018年1月10日付「BBCニュース」より)。
女の子の名前はライラ。事の始まりは「有名人を選んで調べ、発表する」という小学校の課題に「ミート・フリー・マンデー」キャンペーンの創始者ポール・マッカートニーの亡くなった妻、リンダ・マッカートニーを選んだことでした。
インターネットで「ミート・フリー・マンデー」のキャンペーンについて知ったライラは、自分の学校の給食にも導入できたらと考え、お友だちの協力を得て学校で署名運動を行ない、集まった署名とともに行政区の教育長宛てに手紙を出したのです。
給食を週に一度「肉なし」にするだけでも地球環境の改善に役立つとして、温室効果ガス、水の浪費、種の問題(多様性や数の損失)などの最大原因が肉食習慣にあることなど、ネット情報をもとにパワーポイントを作成し地方議会でプレゼンを行ないました。
そして、ついには担当者を動かし、ライラの通う小学校では、去る1月8日の月曜日から「ミート・フリー・マンデー」の給食が始まりました。さらにこの9月からは、その地域(トラフォード区)全域の72の小学校でも月曜日の給食が「ミート・フリー(肉なし)」になるといいます。
このエピソードを去る3月31日に甲府で行なった講演会でお話ししたところ、講演会に参加してくださった13歳と14歳の中学生姉妹が「ミート・フリー・マンデー」キャンペーンを地元の中学校でも紹介しようと計画し始めたことを、先日お二人のお母様からうかがいました。
「ミート・フリー・マンデー」キャンペーンを学校で紹介することを計画中のお二人と。
「ミート・フリー・マンデー」の紹介から始めて「ヴィーガン食」とは何か、さらには「ナチュラル・ハイジーン」のライフスタイルが与えてくれる数々の恩恵などについて、同世代の仲間に知ってもらい、「ナチュハイ・ライフ」の啓蒙に繋げていくプロジェクトにしていきたいそうです。
この姉妹は『親子で学ぶ「ナチュラル・ハイジーン」』と『女性のためのナチュラル‣ハイジーン』と題した私の講演を、「そうだよね」「そうなんだよね」と二人で相槌を打ちながら聴き、すでに「ナチュハイ・ライフ」を実践しているご両親の選択が間違っていないことを納得し、「ミート・フリー・マンデー」紹介計画に着手したのです。
お祖母様がまだ70歳という若さでガンに苦しみ亡くなっていく姿や、ひどいアトピーに悩まされていたお母様が「ナチュハイ・ライフ」をとり入れて克服したことなどを目の当たりにしてきた姉妹は、ナチュラル・ハイジーンに関する講演を聴き、有意義な人生を生きるには「正しい食の選択」が不可欠であることを学んだのです。
そして、それだけにとどまらず、学んだことを同世代の仲間とシェアしようと行動を起こしてくれたことを知り、私はとてもうれしくなりました。