Apr. 2021
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骨の健康維持に必要なのは牛乳・乳製品ではない!
日本ではまだまだ、「骨の健康維持には牛乳や乳製品が不可欠!」という認識が定着し続けています。しかしそれは正しくないことは、35年も前に研究で証明されているのです(注)。
(注) J. Nutr. 116(1986):2316-2319
骨の健康維持に必要なのは牛乳や乳製品ではありません。実は牛乳を飲めば飲むほど、そしてまた、乳製品を食べれば食べるほど、骨はもろくなり、骨折のリスクを高めていきます。
キャンベル博士はこのことを著書『チャイナ・スタディー』(グスコー出版)で非常に詳しく解説しています。解説の内容が真実であることを、博士自身が自らの体で証明する出来事があります。
今から3年余り前の2017年の暮れのことです。クリスマスの2日前、キャンベル博士は22歳と23歳になる二人のお孫さんとラケットボールをしていて、股関節を骨折してしまいました。そのため、クリスマスイブとクリマスの日は病院で過ごす羽目になってしまったのです。これは家族みんなが一堂に会してクリスマスを祝う習慣があるアメリカのみなさんにとっては、とても悲しく残念な出来事です。
でも、怪我から3週間後にキャンベル博士からいただいたメールには、クリスマスイブとクリスマスの日を病院で過ごす羽目になってしまったものの、とてもすばらしい経験をされたことが記されていました。以下、博士からのメッセージです。
しかし、この話には良い面もあります。骨を固定してくれた外科医は、私の骨が異常なほど健康で強いため、通常の2~3本のピンではなく、4本のピンを入れることができたと言っています。手術から6週間は「歩行器」を使うよう言われていますが、3週間後の今、すでに歩行器なしで歩けるようになりました。
でも、妻のカレンは私に危険を冒してほしくないようなので、あと3週間は歩行器を使い続けるつもりです。興味深いことに、外科医は骨の手術を専門としているにもかかわらず、「最も強い骨は食事、特に乳製品を使わない食事から生まれる」ということを知りませんでした。
これは本当に驚くべきことです。この次診察を受けに行くときには、私の書いた『The China Study』を彼に渡すつもりです。
骨の専門家であるはずのこの骨折専門の外科医が、「最も強い骨は乳製品なしの食生活から生まれる」ということをご存じなかったことに関しては、それからおよそ半年余りしてキャンベル博士ご夫妻とある学会でお会いしたとき、カレン夫人がその詳細を話してくれました。
手術を終えて手術室から出てきた外科医は、ドアの外で待っていたカレン夫人に、手術の詳細を次のように報告したそうです。
「あなたのご主人はとても健康で、強靭な骨の持ち主なので、骨を固定するのに4本のピンを入れることができました。通常ご主人の年齢では2~3本がやっとなのです。さぞかしたくさんの牛乳を飲んでいるんでしょうね」
カレン夫人が「いえ、主人はもう30年余りも牛乳など飲んでいないんです!」と答えると、その医師は驚きを隠せない表情になり、「えぇ?」と言っただけだったといいます。
「牛乳を飲まないと丈夫な骨が作れない」──これはどうやら洋の東西を問わず、骨折を治療する外科医たちに共通した認識のようです。このホームページの2月の新着メッセージでご紹介したTさんの担当医の場合もそうでした。
ご記憶の方も少なくないかと思いますが、股関節骨折で全治6か月というきわめて深刻な事故に遭遇したTさんは、3か月余りにわたる入院中、牛乳を含めて一切の乳類ほか動物性食品をとらないプラントベースの食事で過ごし、退院してからもその食事を続けてめざましいスピードで回復し、担当医を驚かせたのです。
(参考)‹https://natural-hygiene.org/lifestyle/news/202102/›
さらに興味深いことに、実はキャンベル博士の骨折から2週間ほどあとのこと、私も不慮の事故から右手首を骨折してしまったのですが、そのとき骨を固定してくれた外科医もまた、「骨を健康に保つには牛乳が不可欠!」と信じていたのです。
手術後、彼は「とにかく牛乳をたくさん飲むように」と私の目を覗き込むようにして念を押したのです。私は黙って聞き流していました。議論をするつもりはなかったからです。
それからおよそ1か月後の検診のとき、あまりにも超スピードで回復した私に驚いた担当医は、満面に笑みをたたえてこういったのです。
「僕が君に与えた宿題をちゃんとこなして、たくさんの牛乳を飲んだんだね」
私は笑いを噛み殺して「いいえ、全く飲みませんでした!」と答えると、担当医から「じゃあ、なんで?」と、怪訝そうな表情で尋ねられました。
私は担当医に「牛乳は健康な骨づくりには役立たない」ことを講義するつもりはありませんでしたので、長年動物性食品はとらない食生活をしていることと、それでも健康は維持できることをロングベストセラーになっている『The China Study』から学んでいること、骨折後は緑葉野菜を以前より豊富にとるよう努めていたことを伝えたのです。
「骨の健康は、牛乳や乳製品からカルシウムを豊富にとることで維持される」といった認識は栄養学の致命的な誤りであることが、『チャイナ・スタディー』(グスコー出版)では数々の綿密な研究データをもとに解説されています。
乳類からカルシウムをとればとるほど、骨はもろくなり、骨折のリスクは高くなります。また、動物性タンパク質の摂取量が植物性タンパク質に比べて多くなればなるほど、骨折率は高くなります。逆に植物タンパク質の量が動物性タンパク質に比べて多くなればなるほど、骨折率は低くなることが研究で明らかにされているのです(もちろん不可抗力な事故による骨折は例外です)。
世界中がコロナパンデミックに直面している現在、心臓血管疾患、肥満、糖尿病、ガン、腎臓疾患、肺疾患などの基礎疾患は、新型コロナウイルス感染症のリスク因子であることが科学によって明らかにされています。
新型コロナウイルスで亡くなる人の95%は先に挙げたような基礎疾患のある人です。新型コロナウイルスの感染や症状の悪化、肺炎、そして肺炎による死亡を避け、ワクチン接種の順番を待ちながら、外出を控え、息を殺してコロナの恐ろしさに耐えているよりも、もっと賢い選択肢があります。
『チャイナ・スタディー』に書かれているキャンベル博士からのメッセージ、「私たちの健康と食べ物に関する真実」を学ぶことです。 (文責:松田麻美子)