2022年5月のメッセージ

Hello from Mamiko Matsuda, Ph.D. in Houston May. 2022

日本のみなさん、こんにちは。

「ナチュラル・ハイジーン」という言葉を聞いたことがある人の中には、「それって、お肉や卵、牛乳などはダメ、食後のデザートもNG、タンパク質は炭水化物といっしょに食べ合わせない、とかいう厳格なダイエット法でしょ?」とか、「ベジタリアンを推奨する変な宗教でしょ?」などと理解している人が少なくありません。

そこで本欄では今後、みなさんに「ナチュラル・ハイジーン」について正しく理解していただくための情報を掲載していきたいと思います。

まずは「Natural Hygiene」という言葉の意味についてです。「Natural(ナチュラル)」とはご存じのように、「自然の」という意味です。そして「Hygiene(ハイジーン)」とは「衛生」「清潔」という意味ですが、『ウェブスター辞典』を見ると、さらに次のように記載されています。

「健康および健康維持のための科学。病気を予防し、健康を維持するための、原則の理論」
『オックスフォード辞典』でも、「病気や疾患を予防するために、自分自身や生活・仕事場を清潔に保つ習慣のこと」と記されています。
すなわち、「ナチュラル・ハイジーン」とは、「健康を維持し、病気を予防するために、自然と調和したやり方で体の内外を清潔に保つ」ということなのです。

この教えは、1830年代に体系づけられた生命科学の理論で、そのルーツは古代ギリ
シャの時代にまでさかのぼります。ヒポクラテスやアルキメデス、ピタゴラス、アリストテレスなどが弟子たちに教えていた人生哲学に基づく「A Way of Life」、すなわち生き方の一つ、ライフスタイルの一つを意味しています。ダイエット法でもなければ、宗教でもありません。

「自然と調和したやり方で体の内外を清潔に保つ」ということは、「自然の摂理、すなわち自然界を支配している<自然の法則>に従って生きるようにする」ということです。

そうすれば、体の内外は清潔に保たれ、その結果、体は健康を維持し、病気を予防することができる、というのが「ナチュラル・ハイジーン」の教えなのです。

この世の中の森羅万象はすべて、<自然の法則>によって司られています。20階建てのビルの屋上から飛び降りたら、体はいやというほど地面にたたきつけられ、死んでしまうでしょう。「引力の法則」が働いているからです。

また、船を水面に浮かべると、船は浮きます。猛烈な風雨や外圧に遭わない限り、船は沈むことはありません。「浮力の法則」が作用しているからです。

同様に、この地球上に生息する動物たちは、「生命の法則」という<自然の法則>によって司られています。

私たち人類を含めすべての哺乳類は、生命を維持し子孫を残していくうえで、以下の7大要素(①空気、②水、③食べ物、④睡眠、⑤体を動かすこと(運動)、⑥日光に当たること、⑦ストレスマネージメント(家族や仲間との関係を緊密に保つこと))が与えられる限り、健康を維持し、自らの寿命を全うできるようにつくられています。

すなわち「体に必要な要素を体に与えること」──これは私たち人間を含めて、すべての哺乳動物たちの生命を司っている<生命の法則>なのです。

20世紀に活躍した「近代ナチュラル・ハイジーンの父」ハーバート・M・シェルトン博士(自然療法医)が、「健康とは、変えることのできない<生命の法則>に従った結果であり、病気とは、その法則に反した結果である」と述べていました。

すなわち、「私たちは<生命の法則>に従って生きている限り、体の内外は常に清潔に保たれ、その結果、健康を維持し病気から免れていることができる」というのが「ナチュラル・ハイジーン」の教えなのです。

一方、<生命の法則>に従わないと、体の内外を清潔に保てなくなります。その結果、健康な状態を保つことができなくなり病気になります。

ですから、健康を維持し病気を防ぐには、「体にとって不可欠な要素を体に正しく与えていくこと」──これが健康の基本です。

しかも、時代を超えて受け継がれてきたこの「健康理論」は、今では科学的にも正しいことが、栄養学、臨床医学、疫学などの分野でのさまざまな研究によって裏付けられているのです。

なお、この生命維持のための<7大要素>のうち、3番目の「食べ物」に関しては、それぞれの動物の種族にとって生物学的にふさわしい「食べ物」と、そうでないものがありますので、その点を注意しなければなりません。

草食動物である象やキリンは、チーターやライオンのように、ほかの動物を殺して食べるようなことはありません。木の葉や草を食べています。

ゴリラやチンパンジー、そして犬も猫も、人間に飼われていない限り、ハンバーガーはおろか、お菓子なども食べません。

自然界の動物たちは、疲れたら休み、夜は眠り、のどが乾いたら水を飲み(ビールや清涼飲料、コーヒーや紅茶などではありません)、お腹がすいたら自分の体にとってふさわしい食べ物を食べています。彼らは何が自分の体にとってとり入れるのにふさわしいのかを、本能的に知っているのです。

興味深いことに、肉食動物のチーターやライオンは、同じ肉食動物を食べるようなことはありません。草食動物を食べます。しかも、まずは草食動物の腹部を食べます。そこに草食動物がとり込み、あらかじめ消化された栄養があり、その栄養こそが、肉食動物が生命維持をしていくうえで必要な要素であることを、本能的に知っているからでしょう。その栄養とは、植物の中にしかない数々の必須アミノ酸や抗酸化栄養、ファイトケミカルなどです。

チーターやライオンは草食動物のような臼歯がなく、草食動物が食べるような草や葉を自分の歯で噛めないことを知っているので、草食動物が食べて消化してくれた植物の栄養を草食動物の消化器官からいただいているのです。

野生のゴリラやチンパンジーなどの霊長類は果食動物で、肉食動物のような鋭い牙はありません。ですからほかの動物の肉をかみ切るようなことはできません。そのことを本能的に知っている彼らは、果物、木の実、草や葉などを食べ、そこから生命維持に必要なすべての栄養を得ています。

このように、自然界にいる動物たちは、それぞれの体にとってふさわしい食べ物が何かを本能的に知っていて、体にとってふさわしいものを自ら選択して食べ、寿命を全うしています。

太りすぎてしまったために空を飛べなくなってしまう鳥などはいませんし、心臓病のために原野を走れなくなってしまうカモシカやキリンもいません。糖尿病性網膜症のために、目が見えなくなってしまうチンパンジーやオランウータンもいないのです。自然界の動物たちは、ガンや心臓病、糖尿病、関節リウマチ、肥満などに悩まされることはありません。

では、私たち人間はどうでしょうか? 次回はこの点をもう少し掘り下げていきたいと思います。

なお、「健康とは、変えることのできない<生命の法則>に従った結果であり、病気とは、その法則に反した結果である」というシェルトン博士の言葉は、『日めくり万年カレンダー 超健康革命・名言の教え 2』(日本ナチュラル・ハイジーン普及協会制作、グスコー出版)の16日に出てきます。

シェルトン博士がこのメッセージで私たちに伝えようとしている<生命の法則>については、『50代からの超健康革命』(グスコー出版)に詳しく記されています。

(文責:松田麻美子)