2020年5月のメッセージ

Hello from Mamiko Matsuda, Ph.D. in Houston May 2020

日本のみなさん、こんにちは。

4月7日に発令された「非常事態宣言」が7週間ぶりに解除され、不自由を強いられていた社会生活も徐々に緩められていくようでが、今後は新型コロナウイルスの感染拡大防止と社会経済活動の両立を可能にする生き方を誰もが意識する必要があることは明らかです。

さらに、人口の増加と社会経済活動のグローバル化がかつてなかったスピードで加速している今日、第2、第3の新型ウイルス感染のパンデミックが起こる可能性はもはや否めません。

ですが「ナチュラル・ハイジーン」の知識を持っていれば、どんなウイルスも恐れるに足らないことを、みなさんにぜひ知っておいてほしいと思います。

実は今回のコロナパンデミックを機に、みなさんは「ハイジーン」理論の大切な部分について、すでに学んでいます。それは「念入りな手洗い」や「咳をするときは手のひらで口を覆うのではなく、肘の内側で覆うこと」などです。

「ハイジーン(Hygiene)」とはそもそも、「衛生」「清潔」を意味する英語で、体や環境ほか、身の回りの物を健全で清潔に保つための習慣や行動を指す言葉です。

「念入りな手洗い」や「咳をするときは肘の内側で覆うこと」「毎日の歯磨きや歯科衛生士による定期的なデンタルクリーニング」、そして「室内の換気をよくし、家の中を清潔に保つこと」「純粋な水分を豊富に補給すること」「毎日十分な排泄を心がけ、体の中を詰まらせないこと」などは「ハイジーン」の基本中の基本なのです。

「Hygiene」という言葉は、もともとギリシャ神話の「健康」「清潔」「衛生」を司る女神「Hygiea」(ハイジーア/日本語訳では「ヒュギエイア」または「ヒギエイア」)から来ています。

「Hygiene」をウェブスターの辞書で調べると、「健康・清潔・衛生」などの言葉よりも先に、「病気予防・健康維持に関する科学/病気を予防し、健康を維持するための原則の理論」と記されています。したがって「Natural Hygiene(ナチュラル・ハイジーン)」とは、「自然と調和したやり方で、体の内外を清潔に保つことで、病気予防&健康維持を可能にする科学理論(教え)」のことなのです。

1830年代に体系づけられたこの科学理論のルーツは古代ギリシャの時代にまでさかのぼります。ヒポクラテスやアルキメデス、ピタゴラス、ソクラテスなど、当時活躍していた医師や科学者、哲学者らが弟子たちに教えていた自然科学に基づくライフスタイルの基本で、とりわけ、「体の内外を清潔に保つこと」が重視されていました。

この教えに基づく「ナチュラル・ハイジーン」の理論では、①新鮮な空気を室内にとり入れること、②純粋な水を体に豊富に与えること、③日光に当たること、④十分な睡眠をとること、⑤毎日体を活発に動かすこと、⑥心の平静を保つこと(ストレス・マネージメント)、そして⑦ホモサピエンスとしての人間の体にとってふさわしい食事(プラントベースでホールフードの食事)をすること、以上の7つを「健康の7大要素」としています。これらの要素は、体の内外を清潔に保つために不可欠な要素なのです。

そしてまた、具合が悪いとき(消化器官のトラブルや発熱、咳など)は、食事をせず消化器官を休ませること(ファスティング)も、体の中を清潔に保つうえで重視されていました。

こうした「ナチュラル・ハイジーン」の教えに従うと、体の内外が清潔に保たれることから、体に備わっている無数の生命機能が最適化され、体は常にベストの状態に維持される、というのが「ナチュラル・ハイジーン」の教えです(くわしくは『50代からの超健康革命』(グスコー出版)に記されています)。

この生命機能の中には「体の免疫システム」も含まれています。体のすべての組織が万全に機能していると、外から侵入しようとする未知のウイルスに対しても、すぐに抗体が作られ、すかさず処理されるのです。

ナチュラル・ハイジーンの教えを守るだけで、私たちはだれもが、免疫力を高め、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスさえもシャットアウトできます。万が一、感染してしまったとしても、風邪のような不快な症状が数日続く程度で終わります。

もちろん、「ホモサピエンスとしての人間の体にとって必要な要素を与える」ということは、裏を返せば「不必要な要素は与えない」ということでもあることを忘れてはなりません。「体にとって不必要な要素は体内環境を汚染し、排泄が疎かになり、体の中を清潔に保つことができなくなるからです。

動物性食品は、体が必要とする以上のタンパク質、脂肪、コレステロールをとり込み、さらに抗酸化栄養やファイトケミカル、食物繊維など、体のすべての機能を万全に保ち、体内環境を清潔に保つのに不可欠な要素を一切含んでいないため、体にとってふさわしい食べ物とは言えません。

新型コロナウイルスの感染者が減少傾向に変わったとはいえ、感染拡大の第2波が発生する可能性が高いといわれています。私たちは「体の内外を清潔に守る」という「ナチュラル・ハイジーン」の教えに従えば、感染拡大の第2波は防げるということを、ぜひ多くのみなさんに知っていただきたいと思います。

なお、次回、6月の新着メッセージでは、19世紀から20世紀の初め、コレラ、赤痢、疫痢、ジフテリア、スペイン風邪(H1A1インフルエンザ)など、さまざまな感染症が世界的に大流行し、多くの人が亡くなっていったにもかかわらず、「ナチュラル・ハイジーン」のパイオニアの医師たちの指導を受けた人びとは、一人として亡くならなかったことについてご紹介します。