2020年1月のメッセージ

Hello from Mamiko Matsuda, Ph.D. in Houston Jan. 2020

日本のみなさん、明けましておめでとうございます。

2020年、みなさんは東京オリンピック開催の年をどのように迎えましたか。2020年という節目の年でもあるだけに、「今年こそは」という一年の抱負を立てて新しい年をスタートされた方も少なくないかと思います。

でも、立派な新年の抱負を立てながら、それが「ひと月坊主」どころか「三日坊主」に終わってしまう、というケースも少なくないようです。みなさんは「何年も前に立てた新年の抱負をずっと実践し続けている」というものをお持ちでしょうか。

新年の抱負を立てる人は多くても、その抱負を10年、20年、30年続けているという人は、それほど多くはないかもしれません。

私には32年間続けてきた「新年の抱負」があります。それは「ナチュハイ・ライフの実践」です。今から32年前の1988年1月1日、私は「ナチュラル・ハイジーンを自分のライフスタイルにする」という「新年の抱負」を立てました。そして、その抱負の実践は32年経過した現在も継続しています。

こんなにも長く実践し続けてこられたきっかけは、一冊の本との出合いがあったからでした。その本のタイトルは『Fit For Life』。当時31か国語に翻訳され、すでに1000万部以上を売り上げる大ベストセラーになっていました。

あの年、新年を迎えるわずか1週間前のクリスマスの日に、親友がこの本をプレゼントしてくれました。そして、そこに紹介されていた「ナチュラル・ハイジーン」と呼ばれるライフスタイルに、私はたちまち心を奪われてしまったのです。

愛読しているうちにボロボロになってしまった『Fit For Life』と、私が翻訳した日本語版(グスコー出版)。

当時、私の健康状態は最悪でした。幼い頃から消化器系が弱く、胃炎や大腸炎に何度も襲われてきました。膝の関節痛に悩まされたり、貧血で倒れたりすることも珍しくなく、慢性疲労のためにいつも「疲れた」「横になって休みたい」と感じていました。15分以上歩くとへとへとになり、運動という名の付くものは大嫌い、小学校の体育の時間はいつも見学していました。

10代になり初潮を迎えてからは、毎月重い生理痛に悩まされ、鎮痛剤が手放せませんでした。それから20年余りのち、子宮にメロン大の筋腫が形成されていて、子宮の摘出手術を余儀なくされました。まだ34歳でした。

手術後は突然更年期障害に見舞われることになり、ホットフラッシュ(ほてり)、不定愁訴、ウツ、エネルギーの低下などの不快な症状が4年ほど続いていて、体調は最悪でした。「何もいらないから、とにかく元気な体がほしい」、そう願っていました。

そうした状況の中、親友が『Fit For Life』を贈ってくれたのです。クリスマスの朝から読み始めた私は、その内容に釘付けになりました。私が長年悩み続けてきたさまざまな不調や体のトラブル、消化器障害から生理痛や貧血、体力不足、子宮筋腫、そして更年期障害やウツに至るまで、そのすべての原因は、私が口に運んでいた「食べ物」と活気に欠ける「ライフスタイル(生活習慣)」にあったことを、その本から学んだのです。

その健康理論は「ナチュラル・ハイジーン」と呼ばれ、1830年代に薬の治療に失望していたアメリカの高名な医師らによって打ち立てられた生命科学でした。

そのルーツは「自然と調和して生きる」という、古代ギリシャの医師や哲学者、科学者らが弟子たちに教えていたライフスタイルにさかのぼります。みなさんにもなじみのあるヒポクラテスやソクラテス、アルキメデス、ピタゴラスらの教えが元になっているのです。

「自然と調和して生きる」──これはとてもシンプルなことです。体の声に耳を傾けること、ただそれだけです。のどが乾いたら飲み、おなかがすいたら食べ、疲れたら横になって休む、日中は日光に当たり活発に体を動かすといった、体がおのずと要求するものを体に与えるというものです。

自然界の動物たちは皆、こうした「自然の摂理」に従って生きています。その結果、彼らは私たちのように肥満や健康上のトラブルに悩まされることはありません。年をとったからといって杖や入れ歯が必要になるわけでもなければ、原野を走れなくなるわけでもありません。

文明国に暮す人間が冒されるような病気(ガン、心臓病、糖尿病、関節リウマチなど)にかかる動物たちも自然界にはいないのです。

私たち人類も自然界の動物たち同様、体がおのずと要求するものを体に与えるならば、悪いところは治され、年をとっても健康で、本来の寿命を全うできる──これが「ナチュラル・ハイジーン」の教えです。

詳しくは拙著『常識破りの超健康革命』『50代からの超健康革命』(いずれもグスコー出版)などに記していますので、そちらをご覧ください。

1988年の元旦、私はその教えを取り入れることを「年頭の抱負」にしたのです。すると驚くべきことが起こりました。これまでずっと悩まされ続けてきたすべてのトラブルが、瞬く間になくなってしまったのです。

おなかの周りについていた余計な脂肪はえぐれるように取れていき、1週間後にはベルトの穴が一つ小さくなりました。それからの私はいつもエネルギーに満ちあふれ、気持ちもずっと明るく前向きになっていきました。

『Fit For Life』に出合う前と出合ったあとの私。

減量効果もさることながら、「ナチュラル・ハイジーン」が推奨する「未精製・未加工の植物性食品中心(プラントベースでホールフード)の食事」は、私たち人類の体にとって最もふさわしいものであり、ガン、心臓病、脳卒中、糖尿病などの予防や改善を可能にすることが、この20年ほどの間に栄養生化学、疫学、臨床医学などの分野でも裏付けられてきました。

私が32年前に自らに約束した「ナチュハイ・ライフの実践」は現在まで途切れたことはありません。むしろ年とともにこの健康理論に対しての確信は深まるばかりです。私の人生を変えてくれた『フィット・フォー・ライフ』への感謝の想いは尽きることがありません。